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関東&東北釣り情報
熊本のうたせ船漁で「銀太刀」狙う
うたせ船は風を利用して帆を調整しながら船を流して底引き網漁をする
<長瀬川忠信 釣り紀行>
火の国にうたせ船あり! 九州は熊本県に独特の<うたせ船漁>があると聞いた。帆だけで操船するユニークな漁法らしい。同乗すれば釣りもやれるという。そのターゲットは<銀太刀(ぎんたち)>のブランド名も付く巨大タチウオだ。ならば、ぜひにも釣りたい、と久びさに遠征釣行を試みたのだが…。初めて体験した熊本釣行ルポをお届けする。
九州だから関東よりは暖かいだろう、と思い込み、半袖姿で熊本空港に降り立ってビックリ! 当日の外気は10度以下。こちらも寒の戻り。慌てて持参のジャンパーを着込んだ。思えば、この慌てぶりが熊本の釣行苦戦を象徴する始まりになろうとは…、この時は想像もしていなかった。
空港からバスに乗り約20分、今回のベースとなる熊本市街に到着。市街では路面電車が走っている。折しも熊本城築城400年祭の真っ最中。戦国時代の武将・加藤清正が7年の歳月を費やし、慶長12年(1607年)に落成したとされ、日本3大名城の1つに数えられる。面積約98万平方メートルという広大な中にドーンと迫る大天守閣と小天守閣を眺めるうち、そのデカさに圧倒された。本丸御殿大広間が来年の復元を目指し急ピッチだ。
周りには桜の木々が約800本。既に山桜は葉桜になっていたが、ソメイヨシノやヤエザクラは今月末に満開になるという。出掛けるのが早すぎたかな?
そんな思いを胸にしまい込み、熊本の味巡りへ。華僑が伝えたといわれる中華料理「タイピーエン」から挑む。漢字で<太平燕>と書き、今や熊本名物。700円前後で食べられ、店は70軒余り。その中から「紅蘭亭」に飛び込んで食べた。春雨がめん代わりで、揚げ卵のほかエビや野菜など盛ってあり味わいは長崎チャンポン風。成人病予備軍としてはうれしく、うまかった。
馬刺しも食べた。上通りにある「菅乃屋」のフルコースは、いずれも身は弾力があり、特にタテガミ下の肉<コウネ>はトロッとした味わいがオツ。ついつい地ビール<火の国ビール(黒ビール)>の杯を重ねて「ここはどこ?」世界になっていたのは情けない。
翌2日目、うたせ船の出港地・芦北町へ。山と田園に囲まれた九州道を走って約1時間半、計石(はかりいし)港に着く。
うたせ船は、エンジンはかけず風を利用して帆を調節しながら、片舷から底引き網を流す漁法。明治初期に瀬戸内海から伝わり、今や現存するのは芦北だけ。漁はエビからカニ、ヒラメやコチなど多種多彩。ちなみに<銀太刀>は隣の田浦(たのうら)の名産だが、漁場は同じ八代(不知火)海域であり、刺し網漁では芦北が県内一の水揚げを誇る。
芦北には現在23隻、うち18隻が観光船としても活躍。網で捕れたものをお土産に、船上で刺し身から豊富な海産物が賞味できるのが売り。「第2寿福丸」の遠山正治船長(41)菊江夫人(41)いわく「2月は、よー釣れとったですよ」とおっしゃる。初めての体験に火の国のごとくアツくなった。5人の同乗者とともにいざ、八代海域へ。ところが、北風がメチャ強く何人かがダウン。釣りどころか網も出せずに引き揚げとなってしまった。
そして3日目、いくらか風が収まり9人の同乗者と出船。海上に出てみると外気は16度近い。防寒着では暑い。なんなんだ、この陽気のギャップは? 慌てて1枚…1枚と上着を脱ぐ。海上に浮かぶ帆船群に風情を感じつつ、刺し身でも食べられるキビナゴをハリにセットした仕掛けを、網を流す側から下ろす。しかし潮流れがきつい。糸がドンドン出ていき心細くなってきた。
それでも、なんとか底に届く。水深は35~40メートル。糸をゆっくり手繰ってくればガツンとアタリがくるはず…なのだが、何度も繰り返すが、いっこうに反応がない。遠山船長によると、前の日の風で潮温が下がっているのがよくないらしい。でも、1匹ぐらい掛かるだろう、と<下ろす><手繰り>を続けた。
遠山船長が2日前に釣れたタチウオを見せてくれたが、なんと130センチ以上はあろうかという巨大さ。そんなの釣りたい、ともう無我夢中。でも、1時間やってもアタリなし。この日は帰りの飛行機便の時間もあり、タイムリミット10分前だ、コツン、と何か当たった感触が。慌てて合わせたが、軽い。早すぎてバレたのか?
菊江夫人「今日は潮が悪いけ釣れんとよ」と、潮が悪いのではどうにもタチうちできない? で「5月から秋なら釣れるばい」だって。結局は時間切れとなり慌てて空港へ。熊本の街なみの鑑賞やグルメは一応、堪能したが、久しぶりの遠征釣行は、またまた定番の次へのリベンジ誓い、となった。
☆問い合わせ 熊本城築城400年祭ほか県内の観光などについて熊本県東京事務所(電話)03・3572・5022。熊本県観光物産総室(電話)096・333・2335。芦北は、甘夏みかんの発祥地で日本一の出荷量があり、デコポンでも有名。うたせ船は、4月から単独利用も4700円でOK。芦北町商工観光課(電話)0966・82・2511。詳細は要確認。
[2007年3月24日 16:42 紙面から]
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